Archive for 27 May 2005

27 May

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 239


"Hi," said Prince Lir. "Glad to meet you." His smile wriggled at their feet like a hopeful puppy, but his eyes--a deep, shadowy blue behind stubby lashes--rested quietly on the eyes of the Lady Amalthea.

「やあ。よろしくね。」リア王子が言いました。王子の頬笑みは、餌でももらえると期待している子犬のように、彼等の足元にじゃれつきました。けれども彼の目は、人形のようなぱっちりとした目の奥の深い沈んだ青い色の瞳は、静かにアマルシア姫の目の上に注がれていました。

 ハガード王とは対照的に、リア王子はいかにも気の良さそうな、しかし軽い感じのする人物である。ビーグル独特の動物のイメージを巧みに活用した表現が、見事にこの二人を描き分けていくことになる。キーワード“animal image”と関連すると共に、諧謔的な描写の仕方はキーワード“anitfantasy”とも連なるものである。

用語メモ
 “stubby lashes”:直訳すれば「切り株のような睫毛」である。極端な誇張がなされた表現は、ほとんどナンセンスの領域に重なるほどである。「人形のようなぱっちりとした目」は苦し紛れの意訳である。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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