Archive for 28 May 2005

28 May

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 240


Prodigies began to waken somewhere southwest of his twelfth rib, and he himself--still mirroring the Lady Amalthea--began to shine.

驚くべき一大事がリア王子の十二番目の肋骨の南西の辺りで目覚め始めました。そしてリア王子自身が、アマルシア姫の光を反射するばかりでなく、自ら輝き始めたのです。

 本物の存在であるユニコーンに影響を受けて、これまではぼんくらの気の良いだけの青年であったリア王子に変化が訪れる。奇跡を行うべき潜勢力を備えた存在のユニコーンに呼応して、この世に"hero"の誕生という奇跡の到来した一瞬が、「12番目の肋骨の南西の辺りで目覚めた」と諧謔的な表現でもって語られているのである。

用語メモ
 prodigy:傑出した人物、天才的な能力の持ち主、あるいは途轍も無い事件のことをこの言葉で呼ぶ。現実の人間社会では、陳腐な俗物達の愚劣な行為があるだけなので、この言葉自体が実は、奇跡と驚異の具現化するファンタシーの空間を暗示するものなのである。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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