Archive for 31 May 2005

31 May

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 243


"You are bored with bliss, satiated with sensation, jaded with jejune joys. It is a king's affliction, and therefore no one wants the services of a magician than a king does. "

「陛下は栄華の故に倦怠を、富裕の故に枯渇を、悦楽の故に疲弊を味わっておいででありますな。それこそ王たるものの苦痛というものです。だからこそ、王ほど魔法使いを必要とするものは他にないのです。」

 全てを手に入れたが故に満足を忘れてしまう絶対権力者である王が、なぜお付きの魔法使いを必要とするかを述べようとするシュメンドリックの言葉である。深い憂鬱に悩む王の姿は、旧約聖書の“King Saul”を連想させる。

用語メモ
 bored with bliss, satiated with sensation, jaded with jejune joys:それぞれの語の“b”、と“s”と“j"の部分で頭韻を踏んでいる。シュメンドリックは根っからの詩人である。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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