Archive for 02 July 2005

02 July

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 275


"The prince is very brave, to love a unicorn. A cat can appreciate valiant absurdity."

「王子様はユニコーンを愛するなんて、大したものだね。猫というものは雄々しい愚行の価値を認めるのさ。」

 猫はハガード王に劣ることのない、独特の美学的性向を十分に備えている。常識的な価値基準にとらわれることのない“absurdity”に対するこのような評価は、ロマン主義哲学の根本理念でもあろう。

用語メモ
 愚行(absurdity):エラスムスの讃えた“痴愚神”は“Folly”であった。“愚かさ”に対する自覚と超理性的評価は、老子の哲学との類似を思わせるが、“absurdity”は通例“不条理”と訳されることが多い単語である。しかし“absurd”は“下らない”の意味で日常的に良く用いられる言葉でもある。

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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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