Archive for 05 July 2005

05 July

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 278


"Damn you, why won't you help me?" she cried. "Why must you always speak in riddles?"
One eye opened slowly, green and gold as sunlight in the woods. The cat said, "I am what I am. I would tell you what you want to know if I could, for you have been kind to me. But I am a cat, and no cat anywhere ever gave anyone a straight answer."

 「意地悪な奴だね。どうしてちゃんと教えてくれないのさ。」モリーは叫びました。「どうしていつも謎でしか語ってくれようとしないの。」
 猫がゆっくりと片目を開けました。森の中の木漏れ日のように緑と金に光る目でした。猫は答えました。「僕が僕だからさ。できることなら、あんたの知りたがっていることを教えてあげたいよ。あんたは僕に親切にしてくれたからね。でも僕は猫なんだ。猫は誰にだって、どんな時だって、はっきりした答えを与えたことはないんだ。」

 人間世界の切実な状況に対して無関心で、つむじ曲がりな猫である。一面においては倫理的束縛を課さない、自由を認知する半神半獣的存在を示してもいる。
 
 用語メモ
 同義反復(tautology):“I am what I am.”などがこれに当たる。同じことの繰り返しでしかないので、何をも説明するものではない。けれどもしばしば人間世界の説明や回答はこの形でなされ、受け入れられることが多い。
 理解不能な二律背反と無意味な同義反復は、時に聞き手の霊的直観力に鋭く働きかけ、超越的真実に対する直照を与えることもある。


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論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(14)“意味消失による意味性賦与の試み──『最後のユニコーン』における矛盾撞着と曖昧性”を新規公開中

作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス



オープン・キャンパス英文学科模擬授業のお知らせ

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』の世界

7月17日、14時20分より、
和洋女子大学 東館11階、演習室3にて開催

『最後のユニコーン』と魔法の記述

 Peter Beagle の長篇ファンタシー作品『最後のユニコーン』(The Last Unicorn)では、魔法についての記述に独創的な表現が駆使されており、“あり得ない物語世界”と“永遠の美と真実”というファンタシー文学の中心的主題を効果的に導き出すことに成功している。

1 魔女の語る言葉

Her voice left a flavor of honey and gunpowder on the air.

魔女の声は蜂蜜と火薬の匂いを空気に漂わせました。

2 魔女の発した魔法の呪文

There was a smell of lightning about the unicorn when the old woman had finished her spell.

3 魔法使いの唱えた魔法の呪文

Schmendrick took a deep breath, spat three times, and spoke words that sounded like bells ringing under the sea. He scattered a handful of powder over the spittle, and smiled triumphantly as it puffed up in a single silent flash of green. When the light had faded, he said three more words. They were like the noise bees might make buzzing on the moon.

アニメーション映画 The Last Unicorn の紹介
『最後のユニコーン』についての質疑応答も行います。



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