Archive for 29 October 2006

29 October

学園祭公開授業

和洋女子大学学園祭公開授業のお知らせ

最後のユニコーンの世界 

The Last Unicornと影の主題
ーアニメーション版The Last Unicorn における映像表現

11月4日、5日
東館11階3科共用演習室にて
1時より4時まで
(自由に入・退出できます。)

 アニメーション映画「最後のユニコーン」(1982)は、1968年に出版された原作の隠された主題であった「影と本体の関係性」を、映像表現として巧みに再編成することに成功している。原作の形而上的で難解な影の主題の根幹的解釈を行う前に、映像表現による影というモチーフの応用例を即物的に確認していくことにより、意外な緻密性を備えたこのアニメーション映画の完成度の高さを味わってみたい。

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 タイトルがあらわれる前のオープニングのシーンでまず姿を現すのは、森の守り神であるユニコーン自身ではなく、彼女の影なのである。

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 オープニング・シーンの後に続くタイトル・バックの画面では、この物語の主人公のユニコーンではなく、タペストリーに描かれたユニコーンの姿が示される。伝統的なユニコーンのイメージとは、確かにクリュニー美術館やメトロポリタン美術館等に保管されているタペストリーによって伝えられてきたものであった。
 これらの基幹的イメージとこの作品において実際に描かれることとなるユニコーン像の微妙な落差が、主題として重要な意味を主張することになるのだが、タペストリーの中のユニコーンさえもが、水面に映った反転した鏡像として提示されているのである。

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 さらにタイトル・バックの画面は、タペストリーの内部で上方に焦点を移動し、雲の形の変化の一つとして、ユニコーンの姿を映し出す。あてどない雲の形に狂気の幻想を仮託して語るハムレットの場合のように、幻想の中に浮かぶ虚像としてのユニコーン像が、もう一つの影の存在属性を暗示するのである。








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