Archive for 17 February 2006

17 February

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 93


 "John, John," Michael would cry, "wake up! Where is Nana, John, and mother?"
 And then John would rub his eyes and mutter, "It is true, we did fly."
 You may be sure they were very relieved to find Peter.
 "Hullo, Peter," they said.
 "Hullo," replied Peter amicably, though he had quite forgotten them. He was very busy at the moment measuring Wendy with his feet to see how large a house she would need. Of course he meant to leave room for chairs and a table. John and Michael watched him.
 "Is Wendy asleep?" they asked.
 "Yes."
 "John," Michael proposed, "let us wake her and get her to make supper for us," but as he said it some of the other boys rushed on carrying branches for the building of the house. "Look at them!" he cried.
 "Curly," said Peter in his most captainy voice, "see that these boys help in the building of the house."
 "Ay, ay, sir."
 "Build a house?" exclaimed John.
 "For the Wendy," said Curly.
 "For Wendy?" John said, aghast. "Why, she is only a girl!"
 "That," explained Curly, "is why we are her servants."
 "You? Wendy's servants!"
 "Yes," said Peter, "and you also. Away with them."
 The astounded brothers were dragged away to hack and hew and carry. "Chairs and a fender first," Peter ordered. "Then we shall build a house round them."
 "Ay," said Slightly, "that is how a house is built; it all comes back to me."
 Peter thought of everything. "Slightly," he cried, "fetch a doctor."
 "Ay, ay," said Slightly at once, and disappeared, scratching his head. But he knew Peter must be obeyed, and he returned in a moment, wearing John's hat and looking solemn.

 「ジョン、ジョン!」マイケルは、大声をあげるのでした。「起きてよ。ナナはどこなの?お母さんはどうしたの、ジョン?」
 するとジョンは、目をこすりながらつぶやくのでした。「本当だ、本当に飛べたんだ。」
 二人はピーターを見つけて、とても安心したと思うでしょう。
 「おーい、ピーター。」二人は呼び掛けました。
 「やあ。」ピーターも、愛想よく答えました。でも実は、二人のことはきれいに忘れてしまっていたのです。その時ピーターは、ウェンディの体の大きさを足で測って、どの位の大きさの家を建てればよいのか調べるのに、とても忙しかったのでした。勿論、ピーターは椅子やテーブルを入れるだけの広さにしようと思っていたのです。ジョンとマイケルは、ピーターをしばらく眺めていました。
 「ウェンディは、眠ってるの?」
 「うん。」
 「ジョン、ウェンディを起こして、晩ご飯を作ってもらおうよ。」マイケルが言いました。でも、丁度その時、他の子達が家を建てるのに使う木の枝を持ってやって来ました。「何してるの、この子達?」マイケルが聞きました。
 「カーリー、この二人に家を建てるのを手伝わせてやってくれ。」逆らいようのない命令口調で、ピーターが言いました。
 「承知しました。」
 「家を建てるだって?」ジョンが叫びました。
 「ウェンディのだよ。」カーリーが言いました。
 「ウェンディの家だって?」ジョンは、びっくりして言いました。「こんな子供なのに?」
 「だから、僕らがウェンディの召し使いになるんだ。」
 「君たちが、ウェンディの召し使いだって?」
 「その通り。そして君も召し使いだ。みんなと一緒に行くんだ。」ピーターが言いました。
 二人は、目を丸くしたま引きずられて行き、木を切ったり運んだりするのを手伝わされました。
 「最初は、椅子と暖炉の囲いだ。」ピーターが命じました。「それから、周りに家を建てていくんだ。
 「その通り。家を建てる時というのは、そうやるものだ。全部覚えてるぞ。」スライトリーが言いました。
 ピーターが、何もかも考え出すのでした。「スライトリー、お医者さんを連れて来い。」
 「承知しました。」スライトリーは即座に答えると、頭をかきながら、どこかに行きました。でも彼は、ピーターの言うことには決して逆らえないと分かっていました。そしてまもなく。ジョンの帽子を被り、いかめしい顔をして戻って来たのです。

 ネバーランドでの、子供達の普段の生活振りを窺うことができる興味深い場面である。ピーターと彼の率いる子供達(ロスト・ボーイズ)は、実体化した遊戯の中に生きているのである。そして、彼等の夢想の重ね合わせ部分を共有するものは、彼等の他にも存在する。

用語メモ
 captainy:“captain”(親分、首領)の形容詞形である。指図をして従わせるのが当り前、という素振り・顔付きのことであろう。ピーターは典型的なガキ大将である。





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