Archive for 24 February 2006

24 February

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 100


 Wendy and Michael fitted their trees at the first try, but John had to be altered a little.
 After a few days' practice they could go up and down as gaily as buckets in a well. And how ardently they grew to love their home under the ground; especially Wendy. It consisted of one large room, as all houses should do, with a floor in which you could dig if you wanted to go fishing, and in this floor grew stout mushrooms of a charming colour, which were used as stools. A Never tree tried hard to grow in the centre of the room, but every morning they sawed the trunk through, level with the floor. By tea-time it was always about two feet high, and then they put a door on top of it, the whole thus becoming a table; as soon as they cleared away, they sawed off the trunk again, and thus there was more room to play. There was an enormous fireplace which was in almost any part of the room where you cared to light it, and across this Wendy stretched strings, made of fibre, from which she suspended her washing. The bed was tilted against the wall by day, and let down at 6:30, when it filled nearly half the room; and all the boys slept in it, except Michael, lying like sardines in a tin. There was a strict rule against turning round until one gave the signal, when all turned at once. Michael should have used it also, but Wendy would have a baby, and he was the littlest, and you know what women are, and the short and long of it is that he was hung up in a basket.

 ウェンディとマイケルは、一度で木に体を合わせることができました。でもジョンは、ちょっと修正を加えてもらう必要がありました。
 2、3日練習するうちに、3人は井戸のバケツみたいに素早く木を上下することができるようになりました。そしてみんな、地下の隠れ家が大好きになりました。とりわけウェンディは、夢中になってしまいました。地下は、一つの大きな部屋になっていました。家というものは、みんなこうでなくてはなりません。釣りに行きたいと思った時には穴を掘ることのできる床がありました。そしてそこには、素敵な色のしっかりしたキノコが生えていて、椅子として使うことができました。ネバーツリーが部屋の真ん中に生えていました。でも毎朝子供達は、この木を床と同じ高さに切り詰めていたのです。お茶の時間の頃には、木はいつも2フィートくらいの高さに伸びていました。ですから子供達はその上にドアを乗せて、テーブルにしていました。食器を片付けるとすぐにまた、この木を切り詰めるのです。こうして部屋の中で遊ぶのに十分なゆとりを得ることができました。部屋のすべてを占めるような巨大な暖炉がありました。どこにいても簡単に火を灯すことができます。ウェンディはこの暖炉の上に紐をかけて、洗濯物を吊るしました。ベッドは、昼の間は傾けて壁に寄りかからせていました。そして6時30分になると、床に降ろすのです。すると部屋の半分近くは、ベッドで占められました。マイケルを除くみんなは、このベッドで眠りました。缶詰のひしこいわしみたいに並んで寝るのです。寝返りを打つ時には、誰かが号令をかけて、一斉に行わなければならないという規則がありました。マイケルもこのベッドで眠るはずだったのですが、ウェンディは赤ちゃんが欲しかったのです。そしてマイケルが、みんなの中で一番小さかったので、女の子というものは言い出すと聴かない、ということもあり、かいつまんで言ってしまえば、マイケルは籠に入れられて吊るされることになったのでした。

 ネバーランドには、ネバーツリーが生えている。その他様々のネバー〜があることがこの後分かって来る。ネバーランドにおいては、あらゆる存在物が現実世界に対する反転的属性を保持した、影の関係にあることが暗示されている。
 毎朝ネバーツリーを切り詰めるロストボーイズ達の習慣は、時の流れを止め、変化を阻止することを誓う儀式のようである。

用語メモ
 basket:“籠”のことだが、ここではインディアンの赤ちゃんが入れられている揺りかご“papoose”を指している。“papoose”という語は、後にも登場する。この当時の子供達のお気に入りの話題が、インディアンの生活と海賊の冒険だったのである。当然のことながら、両者共に、上品な大人達の顰蹙を買うような残酷で血なまぐさいものでなければならなかったことだろう。




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