Archive for 06 April 2006

06 April

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 141


Chapter 11
WENDYユS STORY

 "Listen", then, said Wendy, settling down to her story, with Michael at her feet and seven boys in the bed. "There was once a gentleman -- "
 "I had rather he had been a lady," Curly said.
 "I wish he had been a white rat," said Nibs.
 "Quiet," their mother admonished them. "There was a lady also, and --"
 "Oh, mummy," cried the first twin, "you mean that there is a lady also, don't you? She is not dead, is she?"
 "Oh, no."
 "I am awfully glad she isn't dead," said Tootles. "Are you glad, John?"
 "Of course I am."
 "Are you glad, Nibs?"
 "Rather."
 "Are you glad, Twins?"
 "We are glad."
 "Oh dear," sighed Wendy.
 "Little less noise there," Peter called out, determined that she should have fair play, however beastly a story it might be in his opinion.
 "The gentleman's name," Wendy continued, "was Mr. Darling, and her name was Mrs. Darling."
 "I knew them," John said, to annoy the others.
 "I think I knew them," said Michael rather doubtfully.
 "They were married, you know," explained Wendy, "and what do you think they had?"
 "White rats," cried Nibs, inspired.
 "No."
 "It's awfully puzzling," said Tootles, who knew the story by heart.
 "Quiet, Tootles. They had three descendants."
 "What is descendants?"
 "Well, you are one, Twin."
 "Did you hear that, John? I am a descendant."
 "Descendants are only children," said John.

 「それではお話を始めましょう。」マイケルを足許に座らせ、7人の子供達はベッドの中に収めて、ウェンディがお話にとりかかりました。「昔あるところに一人の紳士がおりました。」
 「僕はどっちかと言うと、淑女のお話がいいな。」カーリーが言いました。
 「僕は、はつかねずみの話がいいな。」ニブズも言いました。
 「静かにしてね。」お母さんが注意しました。「もちろん淑女もおりました。それから、」
 「ねえ、お母さん。淑女もいます、ってことでしょ。まさか淑女は死んでしまってるのじゃないよね。」双子の兄の方が言いました。
 「もちろん、生きてますとも。」
 「生きてて良かった。」トゥートゥルズが言いました。「君も良かったと思うかい、ジョン?」
 「そりゃそうさ。」
 「君もかい、ニブズ?」
 「まあね。」
 「君たちは、双子達?」
 「僕等も良かったと思うよ。」
 「やれやれ。」ウェンディが溜息をつきました。
 「ちょっと静かにしなさい。」ピーターが、声を張り上げました。自分の意見に従えばどんなに下らない話でも、ウェンディの邪魔はさせない、というつもりです。
 「その紳士の名前は、」ウェンディが先を続けました。「ダーリング氏と言いました。」そして淑女の名前は、ダーリング夫人です。」
 「その二人なら知ってたよ。」ジョンが言ったので、他の子供達は嫌な顔をしました。
 「僕も、知ってたような気がする。」マイケルも言いましたが、自信なさそうでした。
 「二人は結婚していました。そして二人が授かったのは、何でしょう?」
 「はつかねずみだ。」突然ひらめいて、ニブズが言いました。
 「違います。」
 「これは難しいぞ。」トゥートゥルズが言いました。トゥートゥルズは、このお話はすっかり暗記していたのですが。
 「静かにね、トゥートゥルズ。二人が授かったのは、3人の後裔です。」
 「後裔って何なの?」
 「そうね、あなたも後裔よ。」
 「聞いたかい、ジョン?僕も後裔だって。」
 「後裔ってのはつまり、子供のことさ。」ジョンが言いました。

 実際にお話が語られる様が記述されている。ここにもあるように、お話の生成は、聞き手の種々の干渉を推進力として積極的に受け入れながら展開していくのである。この要素がさらにこのお話自身の主題として活用されていくこととなる。

用語メモ
 beastly:“とんでもない”とでも訳せそうな、はなはだ偏見に満ちた主観的な嫌悪を示す形容詞である。ピーターは両親の話題に対して敵意を露にするのである。



和洋女子大学公開講座のお知らせ
 作品講読「ピーターとウェンディ」(Peter and Wendy)を読む

5月の毎週土曜日:5月6日、5月13日、5月20日、5月27日の4回、
2時から開催です。

連絡先:和洋女子大学 渉外課  047-371-1473

◆内容
 “ピーター・パン”の物語として有名な、『ピーターとウェンディ』を原文で読みます。実はあまり良く知られていない原作の哲学的な主題を、英語表現の鑑賞に気を配りながら読みとって行きます。4回という限られた回数で作品の全体像を把握するために、読解上の注釈を施したテキストを用意しました。インターネットで公開中の対訳とメモを活用し、質疑応答を通して要点を押さえながら、読解の作業を進めていきたいと思います。
 主題としては、意識内世界としてのネバーランドという場所、個人の内面心理を形成する疑似人格的要素としてのピーターとフックという人物像等について考察することにより、“世界”と“自己”という概念に対する再検証のあり方を試みるつもりです。これがファンタシー文学一般の中心的主題と考えられるものなのです。
 (インターネットの利用、コンピュータの操作等ができなくとも、受講には差し支えありません。)



「ミクシィ」でコミュニティ「アンチ・ファンタシー」を開設しました。
◆「最後のユニコーン」に関するSue Matheson氏の論文の解説等を行っています。
◆ アニメーション版「最後のユニコーン」における視覚表現についての解説を公開中です。
◆ ピーター・ビーグルに関する書誌データを公開中です。

http://mixi.jp/view_community.pl?id=427647

参加希望の方は、以下のアドレスにご連絡下さい。招待メールをお送りします。

kuroda@wayo.ac.jp



メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

 平成17年12月21日和洋女子大学にて開催の
“ポエトリー・リーディング”
において行った朗読、「“Frivolous Cake”ー“浮気なケーキ”を読む」をアップロードしました。
http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/speech/cake/cake.html

 “公開講座8” The Last Unicorn『最後のユニコーン』の世界
を追加しました。
http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/H17E_fest/eibun.htm
論文、“アンチ・ファンタシーというファンタシー2:ファンタシーにおける非在性のレトリック─『最後のユニコーン』のあり得ない比喩と想像不能の情景”を新規公開中




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