Archive for 02 June 2006

02 June

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 198


Chapter 16
THE RETURN HOME

 By three bells that morning they were all stirring their stumps; for there was a big sea running; and Tootles, the bo'sun, was among them, with a rope's end in his hand and chewing tobacco. They all donned pirate clothes cut off at the knee, shaved smartly, and tumbled up, with the true nautical roll and hitching their trousers.
 It need not be said who was the captain. Nibs and John were first and second mate. There was a woman aboard. The rest were tars before the mast, and lived in the fo'c'sle. Peter had already lashed himself to the wheel; but he piped all hands and delivered a short address to them; said he hoped they would do their duty like gallant hearties, but that he knew they were the scum of Rio and the Gold Coast, and if they snapped at him he would tear them. The bluff strident words struck the note sailors understood, and they cheered him lustily. Then a few sharp orders were given, and they turned the ship round, and nosed her for the mainland.

 翌朝3点鐘が打たれる頃には、子供達は皆起き出していた。これから長い航海が始まるのだ。水夫長のトゥートゥルズはロープの端を手に、タバコを嚼みながら仲間に囲まれて立っていた。全員が、膝のところで切り詰めた海賊の服を身に纏っていた。すっきりと顔に剃刀を当て、一人前の身のこなしで横揺れに体を合わせながら、ズボンを引っ張り上げていた。
 誰が船長になったかは、言うまでもないだろう。ニブズが一等航海士で、ジョンが二等航海士だった。女性が一人乗船していた。後は全員、帆柱から前方で仕事をし、船首楼で寝起きする水夫だった。ピーターは、もうすでに舵輪の前に陣取っていた。しかしピーターは、すでに全員に対して号笛を吹いて、彼の所信を告げていた。船長は、全ての乗り組み員に、立派に船員としての義務を果たすように望む。しかし彼等が、リオと黄金海岸のくず共であることはよく分かっているので、もしも逆らうようなことがあれば、遠慮なく喉をかき裂くだろう。ピーターの発するしゃがれ声は、船員達の胸に沁みわたるものだった。彼等は皆、感極まって歓声をあげた。それからまた厳しい声で手短な命令が下された。船は回頭し、本国の方へと船首を向けた。

 ピーターと子供達は、海賊船を乗っ取ったのである。ピーターは船長となり、残りの子供達は皆、士官あるいは水夫となる。これは、彼等にとって新しいメイク・ビリーブのゲームなのである。そしてやはり、ピーターの与える指示と彼自身の演じる様は、これまで通り最高級の冒険を皆に提供するものである。

用語メモ
 bell:艦船上で30分毎に打ち鳴らす時鐘のことである。1点鐘から8点鐘まである。4時間刻みなので、“three bells”と呼ばれるものは1時30分、5時30分、9時30分のどれかということになる。
 stump:船員用語で“脚”のこと。
 tar:船員用語で“一般船員”のこと。




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