Archive for 09 December 2004
09 December
The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 70
"Keep your poor shadows, if you will, but let us go."
あなたの哀れな影たちは捕まえておいても構いません。でも、私たちは自由にしなければなりません。
ユニコーンはマミー・フォルチュナに語りかける。真実の存在であるユニコーンとハーピーを魔女の魔法の力で捕らえておくことは、許されるべきことではない。しかしそれ以外の、檻に閉じ込められ見物に供されている哀れな動物達を捕らえておくことは、別段構わないと彼女は言う。
一見自分勝手な冷たい言葉のように聞こえるが、ユニコーンは捕まえられて可哀想だ、などという情けに動かされるような気持ちは持たない。自然の成り行きとして不自然なことのみを「間違っている」とする。一般の人間的理解である同情や哀れみの感覚とはかけ離れた意識空間の中でユニコーンは生きている。
用語メモ
キーワード“eternal”:時間や関係性に束縛された条件で生を送っている人間の感覚とはかけ離れた世界を、ユニコーンやその他の真実の存在であるもの達は生きている。人間的感覚を超越した“永遠性”がユニコーンを通して語られていく機構を見逃しては、この作品の真の理解はあり得ない。
和洋女子大学英文学科
「ポエトリー・リーディングの一日」のご案内
詳細
http://www.wayo.ac.jp/topics/boshuu.html
作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>
メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/
(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)
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antifantasy2 |
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