Archive for 11 December 2004

11 December

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 72


A few grains of sand rustled down Mommy Fortuna's cheek as she stared at the unicorn. All witches weep like that.

ユニコーンの姿をじっと見据えながら、幾粒かの砂がマミー・フォルチュナの頬を伝ってこぼれ落ちました。魔女というものは泣く時はみんなこうなのです。

キーワード“antifantasy”に関連する。真実の存在であるユニコーンを前にして、偽りの存在性をしか示すことの出来ない自身の限界を痛感して流す魔女の涙は、砂の粒であるという。漫画的な滑稽さをあからさまに展開した場面ではあるが、「あり得ない筈の事柄を描く」ファンタシーが確かにあり得ない嘘を語っている、という事実を正直に語る顕示的な嘘としての位相を示してもいる。
 前回(71)の場面と合わせていかにも「漫画的」な情景が展開する箇所であるが、双方とも残念ながら1982年版のアニメーションでは映像表現としては活かされてはいなかった。むしろ言語表現においてのみ活用可能なシーンであるのかもしれない。

用語メモ
 芸術の中の嘘:「嘘の衰退」においてオスカー・ワイルドが語っているように、優れた芸術は純正な嘘、すなわちペテン行為であることが要求される。現実と混同されてしまうような胡散臭いファンタシーは有害なのである。

和洋女子大学英文学科
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詳細
http://www.wayo.ac.jp/topics/boshuu.html
作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>

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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)



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