Archive for 25 December 2004
25 December
The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 86
A scratching of flinty phrases this time, and Schmendrick's bloody hands flickering across the sky.
次に魔法使いが唱えた呪文は、火打ち石を引っ掻くような言葉でした。呪文を唱えながら、シュメンドリックは血の滲んだ両手を空にかざしてちらつかせました。
“flint”(火打ち石)は冷徹で堅い、非情な心の代名詞でもあるが、ここでは物質の属性である堅牢さのイメージと魔法の呪文に用いられる言葉との、連想の隔たりを活用した表現となっている。現実世界の常識を超越した超自然の領域に属する技術である魔法の技を語る際には、意味の破綻と論理の飛躍が含まれることが欠かせない条件となる。
用語メモ:
論理の飛躍:一意的な演算作業の帰結として得られるような単なる論証は、証明の過程を演出すること以上の存在価値を主張することはできない。作物の存在性そのものが問われる創造行為においては、時として論理の飛躍が正しく執り行われていることが評価の基準となり得るのである。
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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、論文「『最後のユニコーン』と“漫画性”」、「『最後のユニコーン』のフック的アンチ・ヒーローと神格化された無知」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)
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