Archive for 04 February 2005
04 February
The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 127
"What ails ye, that ye sigh so deep?"
「つらそうに深いため息などついて、一体どうしたというのだ。」
ロビン・フッド伝説を模して、バラッドの伝承にあるような場面を用い、古めかしい言い回しを行っている。
“What ails ye?”の部分は直訳すれば、“何がお前を苦しめるのか。”だが、慣用表現で“どうしたの?”の意味で用いられる古い言い方である。
“that ye sigh so deep”は、“そんなにも深いため息をつくなんて”と、問いかけを行った理由を語っている。
“ye”は “you”の古い言い方。ここでは主格(thou)と目的格(thee)の両方が“ye”という形で用いられている。ちなみに所有格は“thy”。
用語メモ
擬古文体:19世紀イギリスでは、中世の伝説世界を懐古する風潮が広まり、ウィリアム・モリスなどは中世の語法を模した“擬古文体”を駆使して“疑似ロマンス”的な世界を描いた特徴的な物語を書き残している。これらは現代のファンタシーの成立に直接の影響を与えたものであると思われる。
上に用いられているような言い回しは、真面目な擬古文体の使用であるか、あるいはこの語法の諧謔的な摘要であるかのいずれとして理解するかによって、与える印象がかなり変化するものだろう。
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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)
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