Archive for 20 February 2005
20 February
The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 143
The loss came back, cold and bitter as a sword. "It's gone now," he said. "I had it--it had me--but it's gone now. "
喪失感が剣のように冷たく、そして苦くよみがえって来ました。「魔法はもう、行ってしまった。」シュメンドリックは言いました。「俺は魔法を手に入れていた。魔法も俺を手に入れていた。でも今はもう行ってしまった。」
真実の魔法の力を振るうことができた至福の一瞬が過ぎ去った後に、言い様もない空ろな気持ちを覚えるシュメンドリックの言葉である。魔法の力の発現とは、魔法を行使する魔法使いのみが行為者として成し遂げるものではなく、魔法の方もまた魔法使いを自分のものとして操っていた、とシュメンドリックは語るのである。魔法の効果自体が魔法を操る者との相互作用として成立するものであることを示している。動作を行う主体と客体の分別が不可能であるのが、魔法の根幹に潜む真実であるらしい。
用語メモ
相互作用:行為を行うものと行為を受けるものの間に成立する関係が相互作用である。事象の観測を行う際の、関係性を支配する時間軸等あるいは様々の他の基軸的要素を任意に選択することにより、その関係性は方向軸を逆転した形で記述されることも可能なものとなる。
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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)
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antifantasy2 |
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