Archive for 27 April 2005

27 April

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 209


To transform a unicorn--anyone who could do that could juggle the seasons and shuffle years like playing cards. And I have no more power than you have; less, for you can touch her, and I cannot.

ユニコーンを変身させるなんて、そんなことが出来るものは、季節だって時間だって、トランプの札を切るみたいに捌くことができてしまうだろう。それに俺には、お前が持っているほどの力もないんだ。お前はユニコーンに触れることができるのに、俺にはできない。

 シュメンドリックがモリーに対して、始めて自分が彼女に劣っている部分があることを認めた場面である。ファンタシーの主題としては、自我の未知の要素が存在することを受け入れ、影(分身)との合体を行う用意が整いつつあることを暗示する。

用語メモ
 影(shadow):多くは何らかの理由のために自我の統一状態が保たれることができなくなり、本体から分離して超自然的存在属性を獲得してしまったもののことをこの言葉で呼ぶが、世界に存在する個別の存在物同士が、全体性の視点から角度を変えて見れば、互いに各々の影としての本来の存在属性を担って、現象世界に曼陀羅のような綾をなして顕現しているとも看做すことができる。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス
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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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