Archive for 26 September 2005
26 September
The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 361
The unicorn cried out again and reared up like a scimitar. The sweet sweep of her body made Molly close her eyes, but she opened them again in time to see the unicorn leap at the Red Bull, and the Bull swerve out of her way. The unicorn's horn was light again, burning and shivering like a butterfly.
ユニコーンは再び叫び声をあげ、前足を上げて半月刀のように後足立ちをしました。その美しい身のこなしの激しさが思わずモリーの眼を閉じさせました。けれどもモリーは再び眼を開けた時、ユニコーンがレッド・ブルに飛びかかるのを見ることができました。そして牡牛は彼女に道を明け渡して退いたのです。ユニコーンの角はまた輝きを取り戻していました。蝶のように震え、燃え上がるようでした。
用語メモ
scimitar:サラセン人が用いていたとされる、イスラム教徒の刀である。ここでは猛々しいユニコーンの様子を喩える言葉として用いられている。他の部分では、ハガード王の笑みがこのscimitarに喩えられていた。
Cf. King Haggard swung around to face Schmendrick and Molly. His scimitar smile laid its cold edge along their throats. "Who is she?" he demanded.
(ハガード王は振り向いて、シュメンドリックとモリーの方に眼を向けました。彼の半月刀のようなほほ笑みが、その冷たい刃先を彼らの喉元に当てました。「彼女は、何者なのだ。」彼は尋ねました。)
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論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(14)“意味消失による意味性賦与の試み──『最後のユニコーン』における矛盾撞着と曖昧性”を新規公開中
作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス
大学祭英文学科公開授業のお知らせ
The Last Unicorn 『最後のユニコーン』の世界
11月5日(土)、11月6日(日)の両日開催
The Last Unicornー映画化の最新情報
1982年のアニメーション版は日本では未公開だが、欧米では熱狂的ファンも多い。“アメリカ”の主題歌が今また話題になっている。
2005年公開予定で製作進行中の実写版は、今世界中のホームページで注目を浴びている。
1 ユニコーンとは
伝説に語り伝えられたユニコーン:プリニウスの「博物誌」の記述
Pliny describes the unicorn as being very ferocious, similar in the rest of its body to a horse, with the head of a deer, the feet of an elephant, the tail of a bear; a deep, bellowing voice, and a single black horn, two cubits in length
プリニウスによれば、ユニコーンはとても獰猛で、身体そのものは馬と同様だが、頭は鹿のようで、足は象のようで、尾は熊のようで、唸る声はとても重々しく、2キュービットの長さの黒い角を持っているということだ。
伝説上のユニコーンとは様々の動物の組み合わせ、“キメラ”(chimera)にも似た存在であった。
クリュニー美術館所蔵のタペストリー:「貴婦人とユニコーン」
中世的“アレゴリー”の世界の中のユニコーン像
2 『最後のユニコーン』のユニコーンは、これらとは全く異なる存在属性を与えられている。
ユニコーンを語る独特の描写と比喩の用法
She was very old, though she did not know it, and she was no longer the careless color of sea foam, but rather the color of snow falling on a moonlit night.
彼女は、自分では知らなかったけれど、とても年とっていた。そして彼女はもう海の泡のような無邪気な白い色ではなく、月の照らす晩に降る雪のような白い色をしていた。
But her eyes were still clear and unwearied, and she still moved like a shadow on the sea.
けれどもユニコーンの目はまだ透き通っていて疲れを知らず、彼女は
海の上の影のように身体を運びました。
She did not look anything like a horned horse, as unicorns are often pictured, being smaller and cloven-hoofed, and possessing that oldest, wildest grace that horses have never had, that deer have only in a shy, thin imitation and goats in dancing mockery.
彼女はユニコーンがしばしば絵に描かれていたように、角のついた馬のような姿はしていなかった。体は馬よりも小さく、蹄は二つに割れていて、馬が決して所有したことのない、そして鹿はただ薄っぺらなおずおずとした物真似でしか所有したことがなく、そして山羊はおどけて踊るような形でしか持っていない“オールド”で“ワイルド”な優美さを備えていた。
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antifantasy2 |
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