Archive for 10 March 2005

10 March

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 161


The land had grown leaner day by day as they traveled on, and the faces of the folk they met had grown bitter with the brown grass; but to the unicorn's eyes Molly was becoming softer country, full of pools and caves, where old flowers came burning out of the ground.

彼等が旅を続けるに従って、あたりの様子は日毎にみすぼらしいものになっていきました。出会う人々の顔は、生える草が赤茶けたものになるのと合わせて、険悪な表情を浮かべたものになってきました。しかしユニコーンの目には、モリーはより潤いのある大地になってくるように思われました。まるで豊かな湖と洞穴が点々として、地面から燃え上がるように花々が咲き誇っている、緑野のようでした。

 ユニコーンの存在を身近にして、シュメンドリックとモリーの被る変化が対照的であることが興味深い。ファンタシー文学の根幹的主題である影の主題の巧みな応用が見られる。

用語メモ
 影:対、極性、相補性、共軛性、陰陽二元論等の概念と密接に絡み合うのが“影”の主題である。

メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)




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