Archive for 14 March 2005

14 March

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 165


Often then, between the rush of one breath and the reach of another, it came to her that Schmendrick and Molly were long dead, and King Haggard as well, and the Red Bull met and masteredムso long ago that the grandchildren of the stars that had seen it all happen were withering now, turning to coalムand that she was still the only unicorn left in the world.

そんな時、ユニコーンは激しく息をつくその合間に何度も、シュメンドリックもモリーももう遠い昔に死んでしまい、赤い牡牛も対決して打ち倒し、すべてが遠い昔のこととなってしまったので、これらすべてを目にした星々のその孫達が今は燃え尽きて黒い炭になり、自分はまだ世界でたった一人取り残されたユニコーンのままでいるような思いを感じたのでした。

 因果関係を超越した、逆転した時間意識のあり方がユニコーンに関して語られている。これはユニコーンの時間性の束縛を知ることのない本来の属性“eternal”と関連するものとも考えられる。真の実在は時・空・精神の次元的断絶のない完結した連続体として存在するということであれば、取り立てて不思議だと考えるいわれもない。原理的にはこれら3つの要素のどれか一つを任意に特定することにより、他の2要素の重ね合わせの様相を自由に変換して記述、あるいは知覚することが可能となることだろう。しかしこの操作のどれか一つを瞬間的にでも行ってしまうことは、既に現象性の束縛の中に捕われてしまったことを示す。

用語メモ
 因果関係:原因と結果を峻別する因果関係という概念は、独立して一方向にのみ進展し、すべてのものを支配しているとされる時間軸の存在が仮定されなくなった時点で意味を失う。時間もまた全体性を構築すべき重ね合わせの要素の一つとして意識される際には、全体と諸物の相対的な関係性を織り成す彩のひとつでしかなくなるのである。



メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

作品研究サンプル
▼不思議の国のアリスとファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス
を新規公開


00:00:00 | antifantasy2 | No comments | TrackBacks