Archive for 07 March 2005

07 March

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 158


Schmendrick drew near to listen to the answer, though he stayed on his side of the unicorn. He never walked on Molly's side.

モリーはユニコーンに、どうしてお姫様の歌に応えて行ってやらなかったのか、尋ねました。シュメンドリックはユニコーンの向こうの側から答えを聞こうと身を寄せました。彼は常にユニコーンをはさんで、モリーの反対側を歩いているのでした。

 ユニコーンを対称軸として、SchmendrickとMollyの姿は鏡像的な構図を形成している。ファンタシー文学の思想的特質を形成する“影”の主題との関連から考察すると興味深い部分である。磁石のように相反する二極が分離している姿であるとも、「天の邪鬼」(imp of the perverse)のように相似的な一組が反転的な対を形成しているとも、それぞれの仮説に従って読み取ることができる。

用語メモ
 「天の邪鬼」(imp of the perverse):宇宙の構成原理として仮定された鏡面的存在物、あるいは常に人の行うことの逆を行う妖気の一種、あるいは人間心理の根底にある内面の位相の一つとして、洋の東西を問わず伝説の中に語られてきたものである。


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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)


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