Archive for 08 March 2005

08 March

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 159


"But I have no time for them now, princesses or kitchenmaids. I have no time."

「でも、私にはそれがお姫様であろうと、料理番であろうと、応えてあげる時間がないのです。私にはその時間がないのです。」

 本作品の観念的な主題における根幹をなすキーワード“time”と関連する部分である。永遠の存在である筈のユニコーンは、本来の属性を既に忘れつつあって、今この時、自分が時間の束縛を受けていることを自覚しているのである。

用語メモ
 極性変換:相反する対照的な存在物と見られるものが、内在的な存在原理に従ってその極性をあるいは振幅、あるいは周期的変化として変換させることがある。ユニコーンという存在物あるいは全体性の示す位相の一つに関して、このような極性変換が行われた稀な事例を記録したのがこの物語であると見なすことができる。


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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)


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