Archive for 14 June 2005

14 June

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 257


"I have swum four rivers, each in full flood and none less than a mile wide. I have climbed seven mountains never before climbed, slept three nights in the Marsh of the Hanged Men, and walked alive out of that forest where the flowers burn your eyes and the nightingales sing poison."

「僕は4本の川を泳いで渡った。どれも水量豊かで、幅1マイル以下のものは一つとしてなかった。未だかつて誰も登ったことのない山を7つ登った。首吊り男の沼地で3晩過ごした。花が人の目を焼き、ナイチンゲールがさえずり毒を吐く森から見事に生還して来た。」

 アーサー王伝説などにしばしば登場する冒険のパターンのいくつかである。典型的な中世ロマンスの筋立てが、陳腐な類型であることを意識して語られている。Schmendrick がCullyの御機嫌をとるために利用した、ロビン・フッド伝説のballadにあったような類型的パターンと同根である。キーワード“antifantsy”と正確に重なる部分である。

用語メモ
 類型(stereotype):類型性の強調は、その背後にある価値観に深い疑念を抱かせることとなる。似たような行為が繰り返され、回数までも具体的に示されればなおさらである。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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