Archive for 20 June 2005

20 June

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 263


But the prince stood up to bar her way, and she stopped, her apron full of herbs and her hair trailing into her eyes. Prince Lir's face bent toward her: older by five dragons, but handsome and silly still.

けれどもリア王子は立ち上がってモリーの行く手を遮りました。モリーは立ち止まりました。エプロンには野菜が一杯で、髪は目の中にまで垂れ下がっていました。リア王子の顔がモリーの顔をのぞきこみました。ドラゴン5匹分オールドになった顔でした。けれどもまだどこか他愛無く、気の良さそうな顔でした。

 キーワード“old”と関連する。英雄となってドラゴンを倒したことで、その体験の分だけ、リア王子は“オールド”になっている。ユニコーンやハーピーが“オールド”であると語られていたこと、シュメンドリックやマミー・フォルチュナが“オールド”でありたいと願っていたことと同等の“オールド”という概念がここでも用いられているのである。

用語メモ
 handsome:通例は立派な、整った顔立ちのことである。女子に対して用いられた場合には、“りりしくて器量が良い”雰囲気である。ここでは若々しく、人好きのする感じであろう。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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