Archive for 26 June 2005

26 June

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 269


"There is the true reason that we stay in Haggard's employ. He does not wish us to leave, and what King Haggard wishes or does not wish is the only concern of the Red Bull. We are Haggard's minions, but we are the Red Bull's prisoners."

「我々がハガード王に仕えている本当の訳というのは、これです。ハガード王が我々を手放そうとはしないからです。そしてハガード王が望むこと、あるいは望まないことこそ、レッド・ブルの唯一の関心事なのです。我々はハガード王の奴隷として使われる獄吏です。そしてまたレッド・ブルの囚人なのです。」

 ハガード王の城のたった4人だけの衛兵達が語る言葉である。飽くまでも曖昧なハガード王とレッド・ブルとの間の関係について語られた、正確な証言となる稀な例の一つである。そしてまた彼等自身の実相についても、二律背反する内容における証言であるからこそ、やはり正確な記述となっているのである。

用語メモ
 minion:“お気に入り”、“寵児”、“奴隷”等の複雑な意味を持つ言葉である。“minions of the law”ならば“看守、獄吏”の意味となるので、次の“prisoner”と興味深い対照をなすことになる。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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