Archive for 29 June 2005

29 June

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 272


"Could you always talk?" she asked the cat. "Or was it the sight of the Lady Amalthea that gave you speech?"
The cat licked a front paw reflectively. "It was the sight of her that made me feel like talking," he said at length, "and let us leave it at that. So that is a unicorn. She is very beautiful."

 「あんたは、前から話せたの?」モリーは猫に聞きました。「それともアマルシア姫の姿を見たから話せるようになったの?」
 猫は考え深げに前足を舐めました。「話す気になったのは、お姫さまの姿を見たからだね。」ようやく猫は言いました。「そんなことはどうでもいい。やっぱりあの方はユニコーンだったんだ。とても美しい。」

 何故か猫は人間の言葉を話すことができるし、一目でアマルシア姫の正体がユニコーンであることを見分けることもできる。ユニコーンがそうであったように、このお話の中において猫の保持する独特の存在属性が確かに窺われる。

用語メモ
 “made me feel like talking”:“僕を話す気にさせた”。“話す”ことは素晴らしい奇跡である。他者の意識を揺さぶりかけ、世界の実相を音声に凝縮させ、世界を流れる音楽を奏でることでもある。そして万物が秘めているこの力を解放させるのが、魔法の力である。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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