Archive for 08 June 2005

08 June

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 251


"She is here, they are all here, and whether they mean my doom or not, I will look at them for a while. A pleasant air of disaster attends them. Perhaps that is what I want."

「この娘は今、ここに居る。二人の連れと一緒にここに居る。この者達が儂の破滅をもたらすことになろうと、なかろうと、暫く儂はこの者達の様子を眺めていることにしよう。心地よい不吉の前兆が、この者達には感じられる。おそらくそれこそが、儂の求めるものなのであろう。」

 自信の身の破滅を予感しながらも、敢えてユニコーンの変身したアマルシア姫を城の中に迎え入れることを選ぼうとするハガード王の言葉である。人生を通じて得られる体験の全てを最高級の芸術的賞玩物として看做そうとする、ストイックなまでに研ぎ澄まされた美的感覚は、強固な実存的自意識の典型を示すものなのである。

用語メモ
 doomとdisaster:破滅をもたらす恐ろしい運命が“doom”である。もたらされた災難、凶事が“disaster”である。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス

(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)


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