Archive for 30 March 2006

30 March

Peter and Wendy 『ピーターとウェンディ』読解メモ 134


We have now reached the evening that was to be known among them as the Night of Nights, because of its adventures and their upshot. The day, as if quietly gathering its forces, had been almost uneventful, and now the redskins in their blankets were at their posts above, while, below, the children were having their evening meal; all except Peter, who had gone out to get the time. The way you got the time on the island was to find the crocodile, and then stay near him till the clock struck.
The meal happened to be a make-believe tea, and they sat around the board, guzzling in their greed; and really, what with their chatter and recriminations, the noise, as Wendy said, was positively deafening. To be sure, she did not mind noise, but she simply would not have them grabbing things, and then excusing themselves by saying that Tootles had pushed their elbow. There was a fixed rule that they must never hit back at meals, but should refer the matter of dispute to Wendy by raising the right arm politely and saying, "I complain of so-and-so;" but what usually happened was that they forgot to do this or did it too much.

さてこれから、その冒険の偉大さともたらされた結果の重大さのために、皆に“もっとも重大な夜”と呼ばれることとなった晩のことをお話することになります。昼の間は、あたかも静かにその力を蓄えているかのように、静穏に過ぎました。今はインディアン達は地上の見張り場所で毛布にくるまり、地下では子供達が夜の食事をとっていました。ピーターだけは別で、時間を調べに外出していました。ネバーランドで時間を調べに行くというのは、鰐を見つけだして時計が時を打つまで近くで待っていることを言います。
この晩の食事はメイク・ビリーブの食事でした。子供達はテーブルの周りに座って、がつがつと食べていました。本当に、ウェンディの言う通り、おしゃべりや騒々しくわめく声で耳がおかしくなる程でした。確かに、ウェンディは騒音はそれほど気にかけはしませんでした。でもウェンディは、不作法に食器を掴んだりして、トゥートゥルズが肘を押したせいだ、などというように言い訳したりするのは許しませんでした。食事中は決して殴り返してはならないという厳しい決まりがありました。そのかわりに静かに右手を上げて、争点の内容をウェンディに告げることになっていました。「だれそれが何々したんだよ、」というような具合です。けれどもしばしば子供達は、この決まりを忘れてしまうか、あるいはこの決まり通りにやり過ぎてしまったのです。

あり得ない空想上の主題を観念的な論理の上に展開しながら、作者の子供の行動パターンに関する観察は実に的確である。そしてそこに描き出される子供の示す典型的な特質は、常に身勝手で気まぐれで、全く信頼するに当たらないということである。一言で言えば子供とは、徹頭徹尾ハートレスな生き物なのである。

用語メモ
 子供:子供は残酷で身勝手で気が利かなくて忘れっぽい。だから子供でいることは楽しい。



和洋女子大学公開講座のお知らせ
 作品講読「ピーターとウェンディ」(Peter and Wendy)を読む

5月の毎週土曜日:5月6日、5月13日、5月20日、5月27日の4回、
2時から開催です。

連絡先:和洋女子大学 渉外課 
◆内容
 “ピーター・パン”の物語として有名な、『ピーターとウェンディ』を原文で読みます。実はあまり良く知られていない原作の哲学的な主題を、英語表現の鑑賞に気を配りながら読みとって行きます。4回という限られた回数で作品の全体像を把握するために、読解上の注釈を施したテキストを用意しました。インターネットで公開中の対訳とメモを活用し、質疑応答を通して要点を押さえながら、読解の作業を進めていきたいと思います。
 主題としては、意識内世界としてのネバーランドという場所、個人の内面心理を形成する疑似人格的要素としてのピーターとフックという人物像等について考察することにより、“世界”と“自己”という概念に対する再検証のあり方を試みるつもりです。これがファンタシー文学一般の中心的主題と考えられるものなのです。
 (インターネットの利用、コンピュータの操作等ができなくとも、受講には差し支えありません。)



「ミクシィ」でコミュニティ「アンチ・ファンタシー」を開設しました。
◆「最後のユニコーン」に関するSue Matheson氏の論文の解説等を行っています。
◆ アニメーション版「最後のユニコーン」における視覚表現についての解説を公開中です。
◆ ピーター・ビーグルに関する書誌データを公開中です。

http://mixi.jp/view_community.pl?id=427647

参加希望の方は、以下のアドレスにご連絡下さい。招待メールをお送りします。

kuroda@wayo.ac.jp



メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/


 平成17年12月21日和洋女子大学にて開催の
“ポエトリー・リーディング”
において行った朗読、「“Frivolous Cake”ー“浮気なケーキ”を読む」をアップロードしました。
http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/speech/cake/cake.html

 “公開講座8” The Last Unicorn『最後のユニコーン』の世界
を追加しました。
http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/H17E_fest/eibun.htm

論文、“アンチ・ファンタシーというファンタシー2:ファンタシーにおける非在性のレトリック─『最後のユニコーン』のあり得ない比喩と想像不能の情景”を新規公開中



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