Complete text -- "The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 31"

31 October

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 31


“aroint thee, witch, aroint thee”

“去れ、魔女よ去れ”

全くとりとめのない言葉のように思われる蝶のこの台詞も、シェイクスピア「マクベス」の第1幕第3場からの引用である。一見散漫に古今の文学作品からの引用、パロディを繰り返すことにより、物語世界は作品本来の個別性、事象性を希薄化させて、他のものとの関係性のみを特性として主張することにより、特有の観念空間内部における普遍性を獲得するに至る。シェイクスピアの劇作品が勝ち得ていたものがこれであった。仮構世界の構築するそのような要素を哲学的観点から高く評価したのがドイツロマン主義である。

用語メモ
 引用、パロディ:積極的な仮構世界構築戦略の一手法としてファンタシーにおける引用、パロディの技法を評価するならば、具体的事象性を削ぎ落とすことにより抽象性とシステム構造性自体に目を向けさせようと企図する点で、ファンタシーは“ノベル”(小説)と呼ばれるものが意図するものとは対照的なものを指向していることが理解されなければならなくなるだろう。これに対して“ノベル”におけるパロディは多くの場合風刺を目的とするものである。

公開授業のお知らせ
和洋女子大学学園祭にて
11月6日:”「最後のユニコーン」と魔法”
11月7日:”「最後のユニコーン」とsorrow”
 両日共、午後1時より開催

公開授業の詳細:和洋女子大学TOPICS http://www.wayo.ac.jp/topics/eibun.html

メインページurl http://www.linkclub.or.jp/~mac-kuro/

(「最後のユニコーン」、「ピーターとウェンディ」その他ファンタシー文学研究資料を公開中)


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