Complete text -- "The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 58"

27 November

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 58


"Spells of seeming," the unicorn said.

「目くらましの魔法ね。」ユニコーンは言いました。

 マミー・フォルチュナの、伝説の怪物達の姿を見物人達の目に映して見せる不思議な技法を目に留めて、ユニコーンはその技術を“seeming”つまり「見せかけ」を操作する、「「目くらましの魔法」と呼ぶ。魔法にも体系的なメカニズムがあり、基本原理と様々の応用技術がある。『ハリー・ポッター』に描かれている魔法も、習得可能な知識体系の世界として具体的に物語世界に導入されていた。このような魔法の原理機構に対して極度に自覚的なファンタシー作品として、『最後のユニコーン』の翌年に出版されたUrsula le GuinのA Wizard of Earthsea(『影との戦い』)がある。これらの作品における魔法と比して、本作品でユニコーンが体現するものとされる魔法の力は、また幾分次元を異にしたものであるといえる。

用語メモ
 “やって来たり、行ってしまったりする”魔法:『最後のユニコーン』において描かれている魔法は、存在そのものが魔法の力の最高の具現化であるユニコーンの存在属性と並んで、魔法を操るものの意志とは別個の、独自の意図と目的を持ったものである。


和洋女子大学英文学科
「ポエトリー・リーディングの一日」のご案内
詳細
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作家島田雅彦氏による講演・パフォーマンス <自由人の祈り>

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(『最後のユニコーン』注釈テキスト "Annotated Last Unicorn"、ピーターとウェンディに関する論文「パンと汎宗教」、「キスと謎なぞ」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)




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