Complete text -- "絵コンテ(story board)"

17 February

絵コンテ(story board)


絵コンテの素案と完成版のアニメとでは明らかに異なっている箇所があるのが、Topcraftが行った演出上の工夫の経過を反映していると思われます。ラストのあたりの一コマでは絵コンテ上の指示書きに”magpie”とありますが、完成版ではカラスになっています。magpie (カササギ)はアメリカによるコーラスの中でも歌われていますが、完成版アニメではその姿は無く、代わりにストーリーの過程のあちこちにカラスの姿が描きこまれています。主題上のカラスの存在の意味については、展示されている学生レポートに優れた考察があります。






学生レポート

主題上のカラスの存在に関する考察

Crow in The Last Unicorn
https://www.academia.edu/34418731/Crow_in_The_Last_Unicorn.docx
20:47:59 | antifantasy2 | | TrackBacks
Comments

HANNA wrote:

 カラスを登場させたのがアニメ版ならではの意味の深い演出だったと初めて知りました。

 ユング研究家レイニアード氏のメッセージを拝見して、思ったのですが、
 ユング心理学によると鳥は「魂」を表すことがあるそうですね。これと、「カラスの存在に関する考察」を考え合わせると、アニメ版において、マミー・フォーチュナの魂が、死後もカラスとなってユニコーンの行く末を見届けたというのが、納得できました。

 もう一度、じっくりアニメを見直してみたいと思います。
02/23/18 23:34:49

antifantasy2 wrote:

演出を担当した山田さんのお話ですと、スタッフでじっくり原作の内容の把握に取り組んだ結果なのだそうです。アニメとしてのアレンジの工夫は、ほとんどが総合指揮を行った窪さんの発想によるものであったといいます。窪さんといえば、「レインボー戦隊ロビン」の作画等で日本アニメの歴史を担ったような方ですが、文学研究者達が読み込めていなかった原作の本質を我がものにし、さらに映像における変換記述と代替記述まで成し遂げてしまっていた訳です。原作者ビーグルにとっても、これほど嬉しいことはなかったでしょう。このアニメは、日米の文化の見事な融合の例として、貴重な作品であると言えるでしょう。
02/24/18 01:38:27
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