Complete text -- "The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 119"

27 January

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 119


"Aha," the sentry chuckled. "That's where the cleverness of it is. You have to give the call three times. Two long and one short."

「そこなんだ。」見張りの男はくすくす笑いました。「そこが今度の合言葉のいいとこなんだ。キリンの鳴き声を3回やるんだ。2回長く、1回短く出すんだ。」

 絶対忘れることのない合言葉の名案として見張りの男が教えてくれたのは、鳴き声は出さないというキリンの声で答えるものだという。実際に言われた通りにジャック・ジングリーは合言葉を言い、中に通してもらうこととなる。しかし声を出さないはずのキリンの声を3回出してみせた、と記述されているのは、むしろ微妙な語りの上での幾分いかがわしいペテン行為がなされていると解釈するべきであろう。
 キリンは実際には鳴き声を出すらしい。

用語メモ
 ペテン的言説: 『最後のユニコーン』において用いられた、作品世界の存在論的位相に特有の属性を付け加えるレトリック(修辞法)を指摘するために、この“ペテン的言説”という言葉を採用することにする。“アンチ・ファンタシーというファンタシー”を形成する条件の一つである。
 Cf. 「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的言説―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」


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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的言説―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」を新規公開中)



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