Complete text -- "The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 207"

25 April

The Last Unicorn 『最後のユニコーン』読解メモ 207


The unicorn fled once more, pitifully tireless, and the Red Bull let her have room to run, but none to turn.

ユニコーンはもう一度、レッド・ブルの許から逃げ出しました。その疲れを知らない走り方が、哀れなほどに思えるのでした。そして牡牛は、走り続けるだけの猶予は彼女に与えたものの、向きを変えるだけの余裕を与えることはないのでした。

 疲れを知らないほどに軽やかに走るユニコーンの様子が、却って哀れに感じられてしまうのである。そのユニコーンをレッド・ブルは余裕たっぷりに追いつめていく。決して捕まえてしまおうとはせず、一つの方向へと追い立てていくのである。

用語メモ
 room:余地、隙間。この場合は単なる空間的隔たりだけでなく、精神的余裕と時間的ゆとりさえもこの語に含まれているように思える。


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作品研究サンプル
▼『不思議の国のアリス』とファンタシーの世界
・映画“ラビリンス”とアリス
・映画“ドリーム・チャイルド”とアリス
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(論文、アンチ・ファンタシーというファンタシー(13)「荒唐無稽とアナクロニズムとペテン的記述―『最後のユニコーン』における時間性と関係性の解体と永遠性の希求」、『ピーターとウェンディ』注釈テキスト "Annotated Peter and Wendy"等を公開中)







平成17年度公開講座のお知らせ
  (9月、毎週土曜日午後1時より、和洋女子大学佐倉セミナーハウスにて開催の予定)
▼講座内容
 映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作である『指輪の王』(The Lord of the Rings)は、オクスフォード大学で言語学を研究していたJ. R. R. トルキンが、神話や伝説の伝承知識に加えて、専門の古代言語に関する膨大な情報を活用して創りあげた世界となっている。実はエピソードの各々がいくつもの架空の言語の文法や語法の生成などと密接に関連して語り進められているのである。架空の作品世界の中のこととは言いながら、これらには言語学上の確かな裏付けがあり、実際の学術的考察として読み取ることが可能なものである。
 本講座では、映画のいくつかのシーンをもとにして、原作の主要な題材を形成していた言語学的設定とストーリーとの関連の部分を指摘すると共に、『指輪の王』の巻末に作者が加えた、作中の人名・地名等の読み方に関する付録の記載を参考にして、英語のスペリングと実際の読みとの関係、さらに発音と読み方について専門的な発音記号を用いることなく、通常の英語の文で説明する表現法などについて解説していくことにする。
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