Archive for January 2018

29 January

2018アニメ芸術論シラバス公開

アニメ芸術論
◇教科に関する科目【中免・高免:選択】 1年 前期 選択 2単位 講義
黒田 誠
【テーマ】 アニメ作品『Gunslinger Girl』の主題の展開手法と演出の特質 を検証する。原作のアレンジのあり方と二次創作としての発展的応用の 可能性について、批判的な視点から細部の対比を行う。
【授業概要】『Gunslinger Girl』のアニメとしての映像表現の緻密な鑑賞 と分析を通して、1期と2期の演出戦略上の変化の実態を検証していく。 各々のシーンの詳細について相田裕による原作のマンガ表現との対比を 行い、原作とアニメのそれぞれの仮構創成としての主張のあり方を確認 していく。未だアニメ化されていない原作の終結部分について、二次創 作としての望ましいあり方を予想する。
【到達目標】フィクションとしての主題提示とそのために採用された演出 戦略を的確に指摘し、表現の内実に対して分析的な評価を行って意味を 読み取る能動的な芸術作品鑑賞の姿勢を身につける。
【学位授与方針】多様な文化事象への豊かな感受性と幅広い理解力。
【授業計画】
1 回 1期1話:兄妹 - fratello -、2話:天体観測 - orione -
原作マンガとの対比、話者の変更と基本設定の変化あるいは省略
2 回 3話:少年 - ragazzo -、4話:人形 - bambola -
メインキャラクター達の人間性の第一印象とその変化
3 回 5話:約束 - promessa -、6話:報酬 - gelato -
ジャンル特質について考える。これは SF 作品か、あるいは他の?
4 回 7話:守護 - protezione -、周辺人物達の人格造形を検証
8話:御伽噺 - Il Principe del regno della pasta -
5 回 9話:彼岸花- Lycoris radiata Herb -、ハードボイルド?
10話:熱病 - amare -、エロとグロとナンセンスの要素は?
6 回 11話:恋慕- febbre alta -、12話:共生- simbiosi -
フラテッロの関係、騎士とファティマ等他の同位体的関係を考察
7 回 13話:流星- stella cadente -、1期の全体像を確認する
アニメとしての基本形態は? 主題によるジャンル分類を行えば?
8 回 2期1話:二人の距離 兄妹、2話:ピノッキオ
ストーリーの全体像を予測することはできるか? 文化と教養と政治
9 回 3話:シミュラクラ、4話:アンジェリカの復帰
1期との演出上の変化はどのようなものか? 細部の描写はいかに?
10 回 5話:泡沫と追憶、6話:チベタンテリアの引退
ハードボイルドか? センチメンタルか? 政治と社会と心理の関連
11 回 7話:カテリーナ 復讐の円環、8話:クラエスの一日
主人公は誰か? 群像劇か? ストーリーの主軸はどこにあるのか?
12 回 9話:賢い蛇 純真な鳩、10話:善意の花 敵役 or 悪役は誰か?
11話:芽生える感情、12話:戦う人形 伏線と継続的主題
13 回 13話:そしてピノッキオは人間に 2期の全体像の収束
1期と2期に内容上、表現戦略上の変化はあったか?
14 回 原作マンガのストーリーの展開を検証する。
『Gunslinger Girl』の全体像はいかに確定されることになる?
15 回 原作マンガの収束を検証する。伏線の回収と主題の提示手法
伏線はいかに回収されたか? 背景設定はどのように主題を導いたか
【教科書名】アニメ『Gunslinger Girl』、マンガ『Gunslinger Girl』
【参考図書】黒田 誠 著、『存在・現象・人格―アニメ、ゲーム、フィ ギュ
アと人格同一性』(牧歌舎)
【評価方法】レポート提出。レポート課題はおって指示する。本講座掲示
板における質疑応答への積極的な参加と随時提示される発展的応用課題
に対する対応を評価に加算する。
【履修について】コンピュータの基本操作とネット環境の理解。
【事前・事後学習等】manaba folio にアップした講座コミュニティに目を
通し、追加される補完資料を確認して総合的な理解を深める。
【備考】manaba folio のコミュニティ「2018 アニメ芸術論」を用いて講座資料の提示と質疑応答を行う。レポートは manaba folio の「コース」を 利用して所定の場所に提出する。
22:31:27 | antifantasy2 | No comments | TrackBacks

28 January

2018総合芸術

2018年度の「総合芸術」では、アニメ「The Last Unicorn」を取り上げてトップクラフト社とランキンバス社の成し遂げた合作の成果を考察します。


シラバス内容
【テーマ】 伝説のプロダクション Topcraft 社製作のアニメ作品を研究する。アメリカのランキンバス社との提携のもとに優れた映像表現を達成した傑作『最後のユニコーン』の演出技法の内実を検証する
【授業概要】アニメ映画 The Last Unicorn(1982) は英語版なので、『研究 アニメーション The Last Unicorn』の日本語訳を施したシナリオをサブテキストにして、台詞とシナリオの関係を掴んでいく。原作の記述に畳 み込まれた形而上的発想の内実を読み取り、それらがアニメにおける映像表現として変換記述を施されている実態を、逐次原作の文章表現の修辞的技巧と対照させながら検証して行く。
【到達目標】表象芸術であるアニメを対象にして映像表現に託された哲学 的な主題を読み取り論議することのできる基本的発想力を身に着ける。 自らの理解を発展的な論考と創作に繋げる応用力を養う。
【学位授与方針】関心・興味に応じて特化した分野・領域での専門的な知識と創作技能・表現力。
【授業計画】
1 回 序章 森の中:タイトルバックとタペストリーのユニコーン
ユニコーンと蝶:蝶の言葉と同時代性、参照を註釈から読み取る

2 回 ユニコーンと農夫、ユニコーンと馬車の男:森の外の世界
マミー・フォルチュナ:魔女との邂逅、かけられた魔法の技

3 回 真夜中のカーニバル:魔法と見世物、本物と偽物
ルークとマミー・フォルチュナ:魔法と演技と芸術パフォーマンス

4 回 シュメンドリックとユニコーン:真実の魔法
森の中、シュメンドリックとユニコーン:悲哀と後悔、冷淡と慚愧

5 回 旅の途上、シュメンドリックとユニコーン:魔法使いの知識
森の盗賊達と愉快な宴:ロビン・フッド伝説とその欺瞞的模倣

6 回 シュメンドリックと赤樫の木:失敗する魔法と逸脱的結果
シュメンドリックとユニコーン:真実の魔法と永遠の存在

7 回 シュメンドリック、レッド・ブルとの遭遇:仇敵との対決
ハガード王の城、城門の衛兵達:探求の旅の目的地

8 回 謁見室:吝嗇家の暴君の居城
城、城の台所:一角の群とユニコーンとタペストリー

9 回 城のバルコニー、城の階段、レッド・ブルの気配と猫
バルコニー、台所のモリーとシュメンドリック:猫の予言と謎

10 回 アマルシア姫とリア:おとぎ話の英雄とヒロイン
リアとアマルシア、城の大広間:謎の在処とロマンス的求愛

11 回 レッド・ブルの洞穴:予言の成就とヒーローの役割
城の大広間と骸骨:謎解きと不気味な助力者

12 回 レッド・ブルの洞穴:予言の成就とヒーローの不毛な行動
レッド・ブル:英雄と魔法使いとヒロインの役割

13 回 海辺、ユニコーンとレッド・ブル:解放されたユニコーン達
海辺、ユニコーンとリア、森の夜、リアとの別れ:解放と至福

14 回 夜の野原、ユニコーンとの再会:エピローグ
ストーリーとアニメの主題提示の実態に対する総点検

15 回 レポート課題についての質疑応答
レポート題目の提出と主題内容審査と指示

【教科書名】黒田 誠 著、『研究アニメ The Last Unicorn』(牧歌舎)

【参考図書】黒田 誠 著:『存在・現象・人格―アニメ、ゲーム、フィギュアと人格同一性』、『Annotated Last Unicorn』

【評価方法】レポート提出。レポート課題はおって指示する。本講座掲示板における質疑応答への積極的な参加と随時提示される発展的応用課題に対する対応を評価に加算する。

【履修について】コンピュータの基本操作とネット環境の理解。

【事前・事後学習等】manaba folio にアップした講座コミュニティに目を通し、追加される補完資料を確認して総合的な理解を深める。

【備考】manaba folio のコミュニティ「2018 総合芸術」を用いて講座資料の提示と質疑応答を行う。レポートは manaba folio の「コース」を利用して所定の場所に提出する。


総合芸術は水曜日の4限目、2時40分から開講です。聴講、参加をご希望の方はこのスレッドにてご連絡ください。ちなみに3限目1時からは、「アニメ芸術論」で「Gunslinger Girl」を講義しています。
20:46:59 | antifantasy2 | No comments | TrackBacks

アニメThe Last Unicorn イオンタウン展示内容



以下の資料が配布物としてお持ち帰りできます。



学内ネットワークにアップした講義資料のCD

関連する様々のデータへのリンクが可能です。



受講生達の2次創作的作品

注釈付きシナリオ

主題考察レポート




11:33:13 | antifantasy2 | No comments | TrackBacks

27 January

The Last Unicorn 展示

アニメ The Last Unicorn 研究資料展示会のお知らせ



場所:ユーカリが丘イオンタウン 東街区1F H&M前


期間:2月1日〜2月28日


2月3日、2月10日、2月17日には解説と質疑応答が行われます。(午後3時〜5時)


2月24日、2月25日には講演会「アニメThe Last Unicornの主題と映像表現」が開催されます。(午後3時〜5時、イオンタウンホールにて)





和洋女子大学国際学類
 


イオンタウン展示



アニメーション映画The Last Unicornとトップクラフト社


 ピーター・S・ビーグルの傑作ファンタシー『最後のユニコーン』(The Last Unicorn)は、1982年にランキン・バス社によってアニメ化されました。このアニメ作品は、アメリカ各地で上映されただけでなくケーブルテレビ等で繰り返し放映されてきたため、アメリカ人のほとんどが幼少から親しんで心に刻みつけてきた名作です。
 実はこのアニメは、日本のトップクラフト社が下請けを担当し、原作の深遠な主題を活かした優れた演出を独自に工夫して、類い稀な映像表現を達成しています。トップクラフト社はこのアニメ作品の完成の後、宮崎駿の依頼を受けて『風の谷のナウシカ』の制作を行い、後に“スタジオ・ジブリ”に社名を変更することになりました。アメリカではコンビニ等でDVDが安価で販売されていて極めて身近な存在であるアニメThe Last Unicorn ですが、世界的に評価の高いアニメ・プロダクションであるジブリの前身の制作作品であるにもかかわらず、未だに日本での公開も日本語版のディスクのリリースもなされていません。アニメThe Last Unicorn は、日本では伝説的な作品として語り継がれている幻の存在なのです。
 原作のThe Last Unicorn には深い哲学的な主題と深層心理学にも関わる重要な題材が秘められていますが、アニメ版ではこれらを反映した見事な映像表現が達成されています。今回これらについての研究資料を紹介させて頂き、日本のアニメ文化の優れた実質ばかりでなく、アメリカのファンタシー文学作品がその成長に大きな影響を及ぼし、さらに日米のプロダクションの共同制作としてすばらしい成果を成し遂げた実例をご覧にいれたいと考えます。

The Last Unicorn
22:29:54 | antifantasy2 | No comments | TrackBacks